開院20年の節目を記念して、また先生がO医科大学薬理学教室主任教授を退官されたことを伺い、是非当院で講演会を、とお願いしたところ快く承諾してくださった。

平成20年11月15日、京都よりご夫妻で出席され『病態機序に基づいた抗高血圧薬の薬理』という内容の講演をしていただいた。先生はアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の降圧薬理作用の解明や、アンギオテンシンⅡの病態機序およびARBの研究に携わり、講演は専門外の私にも大変興味深く勉強になった。

せっかくの機会であったため、関係者のご厚意により通常一般公開されていない「吉田茂邸」を先生ご夫妻と一緒に見学した。もちろん私も初めてのことである。

吉田茂元首相は、政界を引退された後大磯に住まわれ、私が地元の小学校の6年生だった昭和42年、享年89歳で逝去され戦後初の国葬となった。国葬が日本武道館で行われる当日に、邸宅より葬列が進むのを全校生徒で国道一号線に整列し見送ったことを今でも鮮明に覚えている。

邸内は、紅葉が色づき始め、手入れの行き届いた庭園が私たちの目を楽しませてくれた。また、幕末から明治へと近代日本を築いた七賢人を称えるために建立された「七賢堂」があり、海と富士山を望む小高い丘には胸像がそびえていた。

邸宅の中では要人との会談に使われた応接室やダイニングルーム等を見学したが、当時としてはとても斬新的で重厚な印象を受けた。先生とも昔話に花を咲かせながら散策し、とても心に残るひと時であった。

 

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