【前回の記事を読む】「今日一日、俺だけを見て、俺を感じて、俺に癒されて」彼氏のお見合いで心から笑うことを忘れかけていたが……

不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~

「私と翔が泊まりたいの。亜紀達を帰しちゃったら泊まれなくなっちゃうじゃない。今日は私の気分転換の為に来てくれたんだから、最後まで付き合って」

いや、何か論点がズレているような気がするんだけど……。

酔っているせいで、頭が働かない。

「……そうですね。お言葉に甘えて、亜紀ちゃんと泊まります」

「え?」

驚いて、南君の方をジッと見てしまう。

「良いよね? 亜紀ちゃん」

「え……えっと……その……」

「亜紀はOKで~す」

ひょこっと真由が顔を出してきて、私の両肩をガシッと掴んで南君に押し付けた。

「真由っ!」

「は~い、亜紀ちゃんは俺が責任を持ちま~す」

勢い良く挙手をして、私の腰に手を回してくる南君は凄くご機嫌だ。

「亜紀ちゃん、夜通しお話でもしようよ」

お話……それなら……。

酔っていて思考が働いていないためか、防備が緩くなっている事に気付かず、頷いてしまった。

南君と二人で部屋にはいると、そこはスイートルームだった。

「わ、凄い! 洗面所が二個もある! シャワールームまである! お風呂もめちゃ広い!」

南君が探検でも楽しむかのように、部屋をチェックしていく。

「亜紀ちゃん、シャワー浴びてきたら?」

「うん」

私はシャワールームに入り、熱いシャワーを浴びてスッキリして出てホテルのバスローブを羽織る。南君は自分も、と言って、シャワーを浴びに行った。

私は広くてクッションが良いベッドに腰を下ろして、そのまま体を倒した。そんな時、スマホが鳴った。こんな時間に誰だろうと思って相手を確かめずに出てしまうと、俊雄さんだった。