【前回記事を読む】ひらめいたのは“セルフ解体”。自分で解体すれば、費用が浮くではないか! 施主自ら作業を進めていると、不安にかられた設計士が…
プロローグ なぜ「生抜力®」なのか
生抜塾
2022年12月23日 星空のつくば市某所
うすうすうぬぼれかけたところに、さらに追い打ちをかけるようなお声がかった。
杉板の自宅外壁は、ブラックで、たいへん気に入っているのだが、これも、セルフ解体をこなした我々の仕事っぷりを評価(?!)くださった工務店さんが、「梶井さん、これも塗っちゃいますか?」とご指名いただいてしまったのだった。
セルフ解体が終わり、工事が始まり、「あとはできるのを待つだけ」と思っていたのだが、ご指名をいただいてしまったからには、「喜んで!」と、再度週末はセルフ塗装に勤しんだ、という次第であった。


セルフ解体作業も、塗装作業も、まるでそれは職業体験型テーマパーク、大人版キッザニアだった。
最初は経費カットのために始めた作業だったのだが、素人作業を見かねた(?)知り合いの大工さんが道具の使い方を指導してくれたり、と、想定以上にスキルも上がり、作業自体を楽しんでいた。
作業中の我々の前に、街中を軽トラで巡回する仕事熱心な金属買取業者が現れ、「金属部品を買い取りますよ」と取引を求められた。
中古住宅内装金属も買い取ってくれるんだ、と気づいた後の解体中の自宅は、まるで宝の山となった。まだまだ銅線やアルミサッシ、ガス管が残されており、いわゆる都市鉱山! それらを丁寧に解体してまるっと換金したり、と、雪崩式に知識も技術も吸収していったのだ。面白くて仕方がなかった。
設計士の人気のお陰で設計打ち合わせが遅れ、ウッドショックとウクライナ情勢の影響による資材不足と、さらにコロナ感染による職人不足による工事遅延、といった様々な要因が重なり、自宅購入からリノベーションを経て実際移り住むまでに3年の歳月を要した。
確かに自宅を購入しながら、別宅住まいとなると別宅家賃出費は痛かったが、その分十分な準備期間が我々にはあった。