デザートまで終わり、ワインを久しぶりに飲んだせいか、少しボーッとしてしまう。
「じゃ、帰ろうか」
私が席を立つと、水野さんが南君にキーを渡した。
「この展望レストランの下はホテルになってるから、南君は亜紀ちゃんと泊まって。俺は真由と泊まるから」
「え?」
私と南君の声が重なる。
「もう終電もないし、亜紀ちゃん酔って足元フラフラしてるから、泊まって朝に帰ったら良いよ」
ニコニコと楽しそうな笑顔で水野さんが言う。
「いえ、タクシーがありますから」
私がそう言うと、真由が私の肩をポンッと叩いた。
次回更新は10月26日(日)、19時の予定です。
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