キスまでされそうになるけど、それだけは防いだ。それからコースターに乗り、スッキリしたところで、真由達が前方から歩いて来た。
「亜紀~! その顔じゃ、楽しんでるみたいだね! 手まで繋いじゃって、恋人に見えるよ~」
「もう、真由ってば。からかわないでよ」
「あはは、仲良き事は良い事だよ~。それじゃ、そろそろホテルに行こうか。この遊園地の隣にお洒落なホテルがあって、展望レストランが有名なんだ。そこを予約してあるから」
「全く準備が良いわね」
「えへへ~。さ、行こ!」
私達は遊園地を出て、隣にある立派でお洒落なホテルの展望レストランへと足を向けた。
展望レストランに着いて、はたと思った。
「真由、パレードは観なくて良いの?」
「ああ、パレードはいつでも観れるけど、ここでの食事は滅多にできないから優先させちゃった。運良く予約ができたんだもん」
相変わらず自分勝手な子ね……。
そう思いつつも、窓から見える夜景は煌めいていて、綺麗だと思わずにはいられなかった。まぁ、人生初の展望レストランだから、より感慨深いものがあってもおかしくはないだろう。
食事はワインを片手に、フレンチのフルコースをいただいた。
金額が気になったけど、真由はそれを察してか、今日は翔がお財布だから安心して、と伝えてきた。そうは言っても、展望レストランでのフレンチのお値段なんて高いに決まっている。だから、半分でも出すよ、と真由に耳打ちした。すると、真由はクスクスと笑い、翔は稼ぎが良いから安心して、と言われる。でもやはり気になってしまう。
私と真由の会話を聞きつけた南君が、提案をする。
「俺が亜紀ちゃんの分を出すよ。だから水野さんは自分と河合さんの分を支払うってのでどうですか?」
「俺は構わないよ。でも、ここ高いよ?」
「大丈夫! それなりに準備をしてきたので。それで問題ないよね? 亜紀ちゃん」
「でも、南君に悪いよ……」
「いやいや、ここは男が払う場面っしょ」
笑顔で言われて、断れなくなった。
「じゃあ、ご馳走になるね」