第二章 雄太
私の失恋の噂を聞きつけた友人が、またしても同じ高校に通う男子を紹介してくれた。ヒロキとセックスができたのかも分からないまま別れた私にとって、事実上初めての相手となる雄太だ。
雄太とヒロキはクラスは違うが互いに面識はあるようだった。そして、雄太は私がヒロキに振られたことを知り、最初のうちはメールで慰めてくれた。
しばらくメールのやりとりが続いたある日、雄太の家に泊まりに行くことになった。学校で彼を見かけたことはあったものの、まだ一度もデートすらしたことない男子の家に泊まりに行くなんてクラスメートに知られたら軽蔑されるだろうか。それとも男子の家に泊まるというまるで大人のカップルのようなデートに、皆羨望の眼差しを向けるだろうか。
誰かに話そうか悩んだが私の中では後ろめたさが勝った。大好きだったヒロキと別れて日も浅いというのに、もう別の男の家に泊まりに行くことなど知られないほうがいい。
アルバイトが休みの金曜の放課後、私は一度家に帰ってシャワーを浴びた。祖母には友人の家に泊まりに行くと言ったが、どこの誰の家だと話すまでは許してはもらえないようだった。私は雄太を紹介してくれたクラスメートの名前を言って家を出た。