プロローグ
私が貞操観念に目覚めたのは十五歳の頃だった。幼い頃から性的なことに興味があった。
幼稚園の頃、初恋の男の子と裸で抱き合う夢を見た。幼い私には何故お互いが裸だったのか分からなかったが、それが何とも心地良かった。
小学二年生の時にはクラスでスカートめくりが流行した。すれ違いざまやふとした瞬間に、やんちゃな男子達が素早く女子のスカートをめくる。私は自分がターゲットになるのが嬉しくて仕方がなかった。
毎日欠かさずスカートを履いて登校し、スカートをめくられてはその相手を睨みつけて文句を言った。もちろん本気で怒ってはいない。
めくられて喜んでいるのに、嫌がっている素振りをした。それは幼いながらに、自分も人間としての羞恥心や女性としての自尊心を持っているふりをしなければいけないと感じていたからだ。
女性としての自尊心というのは、やはり貞操観念であろう。たいていの女性がそれを持っている。
女性にだって性欲はあるし、セックスがしたいと思う。でもセックスにおいて男女は常に対等というわけではない。
男性の性と女性の性は違う。女性の性はお金に換えられるからだ。つまり女性の性には価値がある。
女性は性を誰彼構わず振る舞ってはいけない。性を大切にしなければいけないのだ。スカートをめくられて喜んでいると悟られれば、自分に女性としての価値がないと思われてしまう。
高学年になりインターネットが普及し始めると、性の知識を得た男子達が教室で卑猥な言葉を叫んで笑っていた。私は他の女子にならってその様子を怪訝な顔で見つめていたが、内心は心が踊った。知らない言葉があれば早速帰ってインターネットで調べた。
その頃、友人に勧められてチャットも始めた。見知らぬ人達とネット上で会話を楽しむ。顔も名前も知らない者同士、最初に自己紹介をするのが通例だった。
チャットの参加者は大体の年齢層が十代後半から二十代前半だった為、小学生の私は十七歳の女子高生という設定で会話に参加した。すぐに複数の男性が私に食いついた。