第一章 ヒロキ

ヒロキは同じ高校に通う同級生だった。彼もまた、童貞でありながら、性への興味、関心、欲求は爆発寸前といった様子だった。

生まれて初めてキスをした。身体を触られた。私はその度に心臓が飛び出るほどに緊張して、高揚した。次第に私はヒロキのことを本気で好きになっていた。しかし彼は私に対し、好きだとも付き合ってくれとも言わなかった。

何も言わずに行為だけどんどんエスカレートしていくヒロキに、私は自分から付き合ってほしいと告白した。

付き合ってもいない相手とセックスをすることに、なんとなく抵抗を感じていたし、なによりも私はヒロキが欲しかった。ヒロキに私の彼氏になってほしかった。

恋人同士になってから、私の毎日はまるで光に照らされたようにキラキラと輝き出した。好きな人と付き合えるだけで、こんなにも楽しいのか、幸せな気持ちになれるのか。それは私が人生で初めて感じた幸福感だった。欲しいものを買ってもらえた時や、美味しいものを食べた時とは比べ物にならないほどの、圧倒的な喜び。大好きなヒロキが、私だけのものなのだ。映画や公園デートもした。好きな人とデートをするのも生まれて初めてで、私は終始笑みがこぼれっぱなしだった。友人と話していても気がつくとヒロキの惚気話ばかりしてしまう。まさに、幸せの絶頂だ。