【前回記事を読む】海岸の白砂青松と潮騒に和む心「生けるごとくかえりて寄する今井浜 さ夜ふけて見ゆ白きいぶきを」…91歳の目に映る、美しい日本の山々
一、美しい日本の山々
二 美しい日本の山々
平成10年4月6日 日本海新聞 潮流
七月八月は勿論北アルプス。可憐なる高山の花。涸沢のあの降り注ぐ様な満天の星の清麗さ。上高地、穂高連峰、立山連峰、そして白山の山々は厳しい友達だ。自分を鍛えてくれた友だ。富士山は眺める方がいい。山や峠に魅入られて早や四半世紀、一年に五十三日登山した四十代が懐かしい。
九月になると京都の北山とか比良山系、葛城・金剛山系ときに台高・大峰山となる。六甲山系は足のトレーニング地。六甲全山縦走五十六キロは本格登山へのパスポートであった。初期には植物図鑑を手に花や樹木を調べた懐かしい山々である。
十月は何と言っても東北は八甲田、八幡平、吾妻、安達太良、岩木山ついでに十和田湖近辺の山々の紅葉、痺れる様な奥入瀬。東北はナナカマドの赤が目立つ。黄色が特に鮮やかな八幡平。広葉樹林は生命の源、神々からの授かりものだ。
田部井淳子氏に云わせると東北の紅葉はもう神様の衣装ですと。
西日本では黒部峡谷、大台ヶ原大杉谷はもう感嘆詞そのもの。中国地方は言うまでもなく我が鳥取県の大山。
信州の空は白い雲が良く似合う。車山、横手山・渋峠からの大展望は晩秋の晴れた日が素晴らしい。富士から北岳、木曽駒ヶ岳そして北アルプス、後立山連峰の白銀は列島の中心を実感させる。軽井沢は夏も素敵だが夕方近く碓氷峠から見る妙義山あたりの重畳たる山並みには深いものがある。
何と素晴らしく美しい日本の山々であろうか。山も海も日本の自然は優しい。素晴らしい日本の自然と四季。さあ、春本番だ。山々が招いている。