【前回の記事を読む】私は「可愛い女の子」の引き立て役。私はわきまえたブス。決して周りに「可愛いと思ってる」と思われてはならない。その理由は…
訳アリな私でも、愛してくれますか
「俺たちの間で話題がないのは事実だし、会話がないのが嫌なら別々で帰ればいい。あんたは空気読んで一緒に帰ろうと思っただけなんだろうけど」
「……そう、だね……」
いつも笑顔でかわしてきたせいで、こういう局面には慣れていない。自分がそこそこ可愛い女の子だったら、修羅場のいくつかも乗り越えてきたのだろうと思う。
「周囲の人間の目、気にしすぎ。仕事のときはすげー食って掛かるのに、それ以外のときはそうでもないんだな」
「えっ……なんで知ってるの!? さっき話したんだっけ……!?」
「別に」
(まぁ確かに……仕事以外では結構人の目気にしすぎてるフシはあるかも知れないけど……そんなふうに言わなくてもいいじゃん……)
精神的疲労のせいか、気が短くなっているらしい。理子はむっとした気持ちを抑えられずに秋斗に言った。
「じゃあ、別々で帰りましょう」
それだけ言って、相手の顔も見ず足早に歩き始める。しかし、男性の歩幅のほうが大きいのか、秋斗が後ろをついてくるのがわかった。
「なんでついてくるわけ……!?」
「俺も家がこっちだから」
「……そう、なんだ。ごめんなさい」
しかし、もはや家の間近である。
(意外とご近所さんなんだ……まぁ、会社の近くに住むならそうか)
そう自分を納得させようとして、マンションのエントラスに入った……が、秋斗もすぐ後ろにいる。
「え、ちょっと……」
「いや……俺もこのマンションに住んでんだけど」
「ウソ……ご近所さんどころじゃないね……」