五、気の診断
身体の調子が悪い時、身体が重く感じることがよくあります。それは身体の周囲に雲のように気が取り巻いているからです。「気診」で診ると腰が重く感じれば腰の周囲に、頭が重く感じれば頭のまわりに雲のように気が取り巻いています。それを「気診」では邪気と呼んでいます。
普通、気は目で見えませんし、検査をしても数値には表れません。でも私たちの身体はしっかりとその違和感をとらえています。そして「気診」で診ると異常がわかります。人の全身に手をかざしてみますと、気の異常があるところで、胸鎖乳突筋は硬くなります。ただし修練を積まないと、正確にとらえるのは難しいです。
診る側の気が乱れていると、判断を誤ります。自分の気を調えることを「自己調身(ちょうしん)」といい、私たちは毎日、随時この「自己調身」を行っています。
身体の調子の良い方や心が安定している方は、全体の気がとてもクリアです。しかし身体の調子の悪い方や気分が思わしくない方ほど、厚い雲のような気に覆われている場合が多くあります。また、痛いところや冷えているところ、何らかの異常がある方を「気診」で診ますと、胸鎖乳突筋が硬くなるのでわかります。
多くの「気診」の施術者たちは自分に必要な気の情報をとらえて気の診断に役立てています。
私が人を診る場合は、目に見える身体から数十センチ、人によっては一メートルくらい離れた空間を見ています。そのあたりに、胸鎖乳突筋が緊張する空間を探します。それは帯状であったり、球状であったり、身体の周囲すべてを包んでいたりと様々です。そして全身の気の状態を調えることを目的に、以下のようにして気を調べています。
①身体を取り巻く気(オーラ)の状態は? 特に悪い反応の強い部分は?
②風邪(ふうじゃ)の有無
③冷えの有無
④頭から足の先までの筋肉の緊張
⑤身体の左右のバランス
⑥各関節における気の滞り(顎関節、肩関節、股関節など)
⑦身体の中を流れる気血水の状態 東洋医学的診断
⑧五臓六腑の状態
このようなことを判断材料として、気の状態を診断し、治療に役立てます。最大の原因になっている部位をとらえることができますと、症状の改善が早くなります。