3. 逆数とは? 友だちとは?「深く理解したい子どもたち」
学級担任としては、6年生を一番多く経験しました。大人になりかかっている年齢ですのでけっこう本音で関わることができ、質の面でも形の面でもダイナミックな実践をすることができました。
6年を担任するたびに気になっていたのが、算数の「分数の割り算」を勉強するときでした。子どもたちに苦手な教科のアンケートをとると算数は常に上位に来ます。それが高学年になるほど大きくなり、なかでも分数は苦手の中でもさらに上位です。
小学校の最後に勉強する分数は「割り算」といういわば三重苦のような内容なのです。そのようなこともあって、私は「なぜ逆数にすると解けるのか」を突き詰めて考えることもさせずに、計算の方法を覚えさせた後に練習問題をおこなってテストで評価するという授業になりがちでした。
私も難しいことをやるとますます子どもの算数嫌いが増えるのではないかといわば逃げていたのです。
勤務校は地域的にも私立中学校の受験をする子も多く、またそうでない子も併せると多くの子が学習塾に通っています。その子たちは『分数の割り算は逆数にしてかける』というやり方を既に分かっているのです。
私は「なぜ分数の割り算だけは逆数をかけるのですか」と証明させようとしました。大人だって「分数の割り算は逆数をかければいい」と知っていても「それはどうしてですか」と問われたら、「分からない」「そうするように習ったから」「でもどうしてだろう」「そんなこと考えたこともない」という人も多いのではないでしょうか。
① 分数の割り算はどうして逆数をかけるのだろうか?
私「ここに『 ÷ 』の問題があります。これはどのように計算したらよいでしょう。皆さんの中には、塾で習ったり家で予習をしてきたりしてやり方を知っている人もいるでしょう。だれか教えてください」
児童A「やり方は、後ろの2/3 の分母と分子を逆にして3/2にします。それから÷ではなくて×(かける)にすると正しい答えになります」私「みなさんどうですか」児童多数「いいです」