また、平均寿命を超えて80代後半以降になると、死因として老衰の割合が高くなる。最近見たテレビの老衰について解説した番組によると、人の各臓器は、老衰死の数ヶ月前から重量が次第に減少していき、死亡する直前には臓器の重量が激減するという。

この原因として、臓器再生の元になる幹細胞が老化のため、細胞分裂能力を失うことが主要な原因だという。老化の原因は、活性酸素による酸化、過剰な糖による糖化、そしてビタミン・ミネラル不足があるとされる。

そうであれば、老衰の原因に対しても、対策が講じられるのではないか。日常的に身体のことを考える契機となるのは食事である。

私は、若い頃、食べるのはただ単に空腹を避けるため、と考えた時期があった。その頃、大学の生協で、「最近の若者はこんなに痩せている」というキャンペーンの写真の中央に私が写っていたこともあった。

その後、酒の飲み過ぎで胃潰瘍になったり、盲腸の手術をしたりしたのに、食事には関心が向かなかった。

結婚して子どもが三人になった頃、妻は三人の子どもの世話に追われ、掃除洗濯に忙しく、いつまでも食事が作れないので、仕方なく、私が昼食を作り始めた。

イメージとしたのは、学生・院生時代に中華料理屋でチャーハンや焼きそばを作っていたのをカウンター越しに見て、その作業を思い出したのである。それでも、食事を作ると、おいしいと言ってもらいたくて、いろいろ工夫することを覚えた。

大学の教員時代に、他の女子大学で「生命の科学」を担当したとき、少しでも彼女たちの関心に合わせようとして、テーマの一部に栄養学の分野を取り入れた。

そのために、様々な題材を日常の中から探す作業が日課となり、食事と栄養について、一通りの知識が身に付いてきた。大学を辞めた後、京都府に植物工場の実験設備を作ってもらい、野菜の栽培を始めた。

その中で、ミネラルの分析、ビタミンの分析などを行って、露地や他の植物工場の野菜を分析し、比較する中で、野菜の機能について考えるようになった。

 

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