心理学を学び、母からの精神的な「虐待」に気づく

数年かかって必要なカウンセラーの資格を取得した私は、以後、現在に至るまで、スクールカウンセラー、キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとして、さまざまな学校や企業で働いてきました。

心理学は私に、第二の人生をくれただけでなく、たくさんの気づきを与えてくれました。

何よりも大きかったのは、それまでの自分の考え方、物事の認識の仕方がいかに偏っていたかがわかったことです。

詳しくは本文でお伝えしますが、私は幼い頃から、母の言いなりになる人形でした。

私が自分の考え、自分の価値観だと思っていたものはすべて、母から押しつけられたものであり、私は自分でも気づかないうちに、母から精神的な虐待を受けていたのです。

心理学を学び、その事実を知ったとたん、世界の見え方ががらりと変わりました。それまでの私は、周りからは明るく社交的な人間に見えていたかもしれませんが、本当は自分に自信がなく、臆病で、びくびくしながら生きていました。

しかし、そうした自信のなさは、母の何気ない言葉の積み重ねによって植えつけられたものだとわかりました。

また、私は八方美人で、常に周りの人の顔色をうかがい、無理に相手に合わせ、自分のことを後回しにしてでも、相手のご機嫌を取るような真似をしたり、相手が喜ぶだろうと思われることをしたり、とにかく「余計なお世話」ばかりをしてきました。

その結果、トラブルに巻き込まれてしまう、相手から煙たがられてしまう、といったことも少なくありませんでした。

カウンセラーになってからも、仕事は順調に回るようになったのですが、周りから誤解されて悪く受け取られることがしばしばありました。

そのたびに、「どうして私ばかりがこんな目に遭うんだろう」「私は何も悪いことをしていないのに」「私が弱いせいだろうか」と思っていましたが、

仕事や研究を通して心理学への理解を深め、自分の行動を分析するうちに、「すべては私自身が招いていた」「ネガティブな出来事に焦点を当てているのは自分自身だった」と気づいたのです。