「DNA鑑定か。聞いたことがあるな」「君の組織の一部を拝借させてもらって、その骨と比べる。DNAが一致しなければ赤の他人の骨というわけだ」
「今すぐそれをやってくれ」
「ちょっと待ってくれよ。今、この場で簡単にできるもんじゃないんだ。それに個人からの依頼の場合、お金をもらわないとできない規則になっているから」
「いくらかかるんだ?」
「一般的な親子鑑定ならば二万から四万円程度でできるよ。でも、今回のケースは初めてだから、少しお高くなるだろうね。そのへんは教授に聞いてみないとわからないよ」
「金なら払うよ。だからDNA鑑定をやってほしい」
「お金を無駄に捨てるようなもんだよ。君の骨のわけがないんだから。たぶんただの偶然だろう」
「それでもかまわない。こんな疑問をずっと持ち続けて生きていくなんて、オレにはできないよ。白黒はっきりさせたいんだ」
「わかったよ。それではまず、持ってきた骨を預かりたい。それから君の検体がほしい。ちょっと待ってて」
山口が部屋から出ていった。
山口は手に綿棒と試験管を持って戻ってきた。
「この綿棒で口の内側をこすって、この試験管に入れてくれないか」
「わかった」
サトルは言われたとおり、綿棒を口の内側、頬の裏っ側に当て、上下に三回こすった。
サトルが山口の手にしている試験管に綿棒を入れると、すぐに山口が試験管にフタをした。
「調査期間は一か月ほしい」
「そんなにかかるのか?」
「ああ、DNA鑑定には時間がかかるんだよ」
「仕方ないな。じゃあ、よろしく頼む」
サトルは立ち上がり、部屋を後にした。
次回更新は9月3日(水)、18時の予定です。
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