俳句・短歌 詩 短編集 ことば 2025.08.31 視力を失った愛犬へ。もう君の瞳に私は映らない。それでも声と匂いで伝えたい「いつでもかわらず、君のそばにいること」 「Prelude プレリュード」 雨の匂い 庭先の金魚草たちが踊る 微かに響き合い 静寂の波の中で 音を織りなす それは 自然の前奏曲のようで 美しくその場を漂いながら消えてゆく ひとつ残らず
小説 『眠れる森の復讐鬼[人気連載ピックアップ]』 【第4回】 春山 大樹 「覚えてない?同じクラスの、公園で灯油被った女の子」…死んだと思ってたが、全身火傷で植物状態のまま入院中らしい。 【前回の記事を読む】「詐病」を疑われた高校生息子。「カイロを隠して体温計を温めることもできる」と医師に言われ…勿論普段も家でごろごろしているだけなので、特に入院生活がそんなに困るわけではない。食事の準備を心配する必要がないだけましである。ただ入院費用は親からの仕送りだけではどうしても足りない。だから入院のことを黙っておくわけにはいかなかった。あの母親のことだから、息子が入院すると聞いたらすわ一大…
小説 『愛[注目連載ピックアップ]』 【第8回】 高見 純代 「君は他の女性とは違う、大事にしたいんだ」——真剣なのは表情で分かった。でも彼の中で自分がどういう存在なのかは分からず… 【前回の記事を読む】父は、母が出て行ってからも私を思いやることはなかった。会話はなく、口を開けば「マッカーサーの野郎が…」と同じことばかり…月曜になり、私はまた『ココ』へ行った。やはり神矢は来ていた。「コスタリカコーヒーって、本当に香りがいいですね」私の鼻先に芳醇な香りが漂っていた。「本当に気に入ったんだね」 と神矢はうれしそうに笑った。「えぇ」「そうだ、君にプレゼントがあるんだ」と言って、神矢…