自分の食生活の悪さが露呈するだけだと思ってその言葉はやめた。メンカラってメンバーカラーの略だと思うが、全員茶色だと麺と唐揚げの略でもおかしくなさそうだ。思ったが言わないでおく。
「茶色って白みたいにいっぱい色があるんですね……」
その彼女が指差す横に、一番記憶に残っているミルクティー色の髪の毛の男の子がいた。
「あ、この子歌ってましたね」
「そう!」
私の言葉に先輩の顔が明るくなった。
「この子は詠人(えいと)くん。ボーカル担当で世間じゃ一番人気。詠人くんはミルクティー担当。……とはいえ一護くんめっちゃ推せるよ!?」
「イチゴ、詠人……」
適当に復唱すると、覚えてとばかりの熱量で先輩が全員の名前を教えてくれた。どうやら一から八の数字を名前の読みに含んでいるらしい。覚える気はないが頷いておく。
「そんな六つ子みたいな……八つ子? みたいな名前なんですね」
「うん。色々な面で運営のセンスはなんとも言えない」
先輩は溜息混じりに言った。
「マネージャーもキツいみたいだし」
先輩はスマホの壁紙画面を名残惜しげに見て、ポケットに戻した。
「けどね、実力があるからやっぱり人気になったし……とにかくめちゃくちゃいいよ」
よろしくね、と強めに手を握られた。今まで先輩の音楽番組談義はよく聞いていたが、今回が一番熱量を持っていた。
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