「あーなんか、若い男の子いっぱいの歌とダンスあたりからです」
「キケロ見た!?」
先輩がずいと近付いてきて、目の前で瞬きをしたその目元のマスカラがダマになっているのに気が付いた。
思わず、マスカラ、と小さくこぼしてしまう。
「うん。そう、色変えたの。推しの紅茶色にしてみた」
「え、あ……推しが茶色ですか……。推しの色って綺麗な色ばかりだとてっきり……」
「茶色は茶色でもカレーみたいな茶色じゃなくて紅茶の色なの!」
アイスティーだよ、とまつ毛を見せられたけどまったく分からなかった。首を傾げると、先輩がスマホを取り出して待受画面を私に見せた。
「これが昨日の音ステのキケロストアーズ。私の推し」
待受の時計表示と共に、八人の男の子が画面に映っていた。
「わあ……」
確かに美少年だけれど、画面の人口密度が多くて画が濃い。全員美形なので綺麗などんぐりの背比べだ。
何も言えずに見ていると、先輩が一人の男の子を指差した。
「ほら、この子が昨日の音ステでダンスのセンターだった子! 一護くんっていってアイスティー担当なの!」
指差された男の子は一番暗い茶髪だった。
「い、苺……? そうなんですか……」
「キケロは全員メンカラが茶色系でさあ」
そんな弁当みたいな。