「扉から入って来られる人物。考えられるのは顔見知りの犯行という線だ。あるいは身内の犯行というのもまったくゼロとは言いがたい」
「そうか。あの若社長だって疑おうとすれば疑えるわけか」
「それに、お手伝いさんが犯行を手引きしたという線だってあり得る」
「なるほど。それなら正面から堂々と入ってこられますね」
「それをだ。警察がすぐに自殺と断定して処理したことが解せない」
「最近はあまりにも血なまぐさい事件が多いから警察も手が回らないんじゃないですかね」
「あれを簡単に自殺として処理しているとなると、警察はあまりにも多くの殺人犯を見逃していることになるぞ」
「警察も信用できないなんて、怖い世の中になってきましたね。いったいわれわれの身は誰が守ってくれるんだ、まったく」。吐き捨てるように啓二が言う。光一は首の後ろに組んでいた手をほどき、意をけっしたかのように正面を見据えてコトバを発した。
「オレは、オレなりのやり方で真相を追いかけてみようと思う」
「ボクも手伝いますよ」
光一は小さくほほ笑んでうなずくと、小太郎にコーヒーのお代わりをリクエストした。
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