◆「何の仕事をしているか」もわからないまま受けた試験

この二つの試験は、先生に勧められた勢いのまま受けた試験であったため、その資格でどんな仕事ができるのか、ということは正直いって何も知らなかった。

当時私はアパート暮らし。実家も賃貸住宅であったので、マンションが「区分所有」という「所有権」の一種で、その集合体であることは、宅建の勉強をしたことで初めて知ったのである。その上に「マンション管理会社の担当者は、重要事項説明の際や管理受託契約締結時に管理業務主任者の資格が必要」と言われても、あまりピンとこなかった。

とにかく、問題集を解いていく中で覚えて、「こういうものなのか……」という感じで受験した、というのが実情であった。

マンション管理に関わる仕事に就いた現在では、さすがに資格の位置づけはわかるし、「あのとき、取っておいてよかったな」と思う。これも縁があって一回目の試験を受験できたこと、先入観を持たずに勉強できたことが、よい方向につながったのだと思う。

中には、資格試験は社会経験を積んだ上で受けたほうがよい、という意見もある。この資格に当てはめると「実際にマンションに住んでいて、理事会への対応等で困りごとがある」という場面のように、社会人になってから問題に直面するからこそ、本気で資格の勉強に取り組める、という面を指すのであろう。

社会人が資格を取得するメリットは、実務や経験の中で、「知っておくべきこと」や「不足していること」がわかっている、というところにある。