序章
1 あなたは自分の「勉強法」を持っているか
「勤務先からの推奨で、資格を取得しなければならない」「資格を取得して、転職活動に活かしたい」「見識を広めるために、資格の勉強をして、無事に合格したい」等々、資格を取得したいと願う人は多い。
高齢社会に突入し、定年年齢が延びると予想される現代において、「働き続ける」ための手段として資格取得を検討している人もいるだろう。より切実なこととして、「資格が取れないと出世できない」「資格がないと給与に響く」という問題を抱えている人も多いだろう。
その一方で、「仕事をしながら資格を取得するなんて難しい」とか、「元々勉強が苦手で、いまさら自分自身のためとはいえ、勉強なんてしたくない」という人、「うまく仕事と勉強を両立する方法があれば助かるけれど……楽な方法なんてないだろうな」と思う人等、いざ勉強を始めようとしても、前に踏み出せずに躊躇したり、具体的な勉強方法について悩んでいる人も多いと思われる。
書店で「勉強法の本」という分野が充実している現状を見ると、実際に悩んでいる人がどれだけ多いか、容易に想像ができる。だが、実際にこれらの本を読んでみると、脳科学に基づく勉強法、「朝型生活をしよう」というような時間捻出法、「勉強に対する意志を持ち続けよう」といった精神論的なものも多い。
そのような内容で、本当に読者の期待に応えられているのか、甚だ疑問に感じている。読者の中には、「もっと具体的に、勉強の仕方、方法、コツを教えてほしい」と願っている人が多いのではないか。
本書はまさに、「具体的な勉強法=勉強術、ノウハウ」に焦点を当てて書いている。
いわゆる「勉強ができる人」や、「いとも簡単に資格に合格できる人」のように見える
人は、「元々『頭がよい』という素質を持つ人」(いわゆる「天才」)もいるだろう。
だが、実際には、たとえ「天才」でなくても、「自分自身で『効果的な勉強法』を確立している」という人もいる。それは、本人が意識してというよりも、これまでの人生の中で無意識のうちに勉強法を確立できたために、いざ自分自身の勉強法を人に伝えたり、質問された際に答えようとしても、「自然にできている」と答えるしかない、というケースもあるように思う。
逆に、いわゆる「頭がよくない」とか「要領が悪い」と思い込んでいる、または周りからそう思われている人は、「記憶力がよくない」ことや「要領がよくない」というよりも、「自分なりの勉強法を確立できていない」ことが多いように見受けられる。
本書では、その「具体的な勉強法」という、テクニックを徹底的に書いたつもりである。