【前回の記事を読む】具体的に「どのように勉強していけばよいか」や「どうすれば効果的な勉強ができるのか」という、その「実践的な方法」を伝えたい

序章

1 あなたは自分の「勉強法」を持っているか

前記に掲げた資格は、企業側が社員に対して取得を奨励し、社員の知識や意識の向上に資することを期待している場合が多いと思われる。企業によっては取得していないと昇進や昇給に響く可能性もある。

そして、これらの資格試験は、いわゆる「一夜漬け」では合格できないレベルである(そもそも、「一夜漬けで受かる」という人や「コツコツやれば受かる自信がある」という人は、試験勉強に対する免疫がある人だろうから、意識的か無意識的かにかかわらず、既に「勉強法」が確立していると思われる)。

「継続は力なり」といわれてはいるものの、その「継続」とは、無理なく勉強できてこそ可能、という面もある。本書ではその「無理なく」「効率よく」勉強する方法を実践できるよう、書いたつもりである。

昨今の厳しい経済状況の中で、「成長」と「分配」の必要性が叫ばれている。「『勉強』と『経済』となんの関係があるのか?」と疑問に思われるかもしれない。

だが、冷静に考えていただきたい。経済成長は、現実的には「GDP(国内総生産)」が伸びることによってもたらされる。そのGDPの中身とは、生み出したモノやサービスに上乗せされた「付加価値」である。

「企業の収益」とは、モノやサービスの販売・提供に際し、「付加価値」を乗せて売ることによりもたらされ、ビジネスパーソンの給料は、この「付加価値の上昇」によって上がると考えられる。

サービス産業を中心とした「第三次産業」を基軸とする日本経済において、「いかに付加価値の高いサービスを提供し、収益を得るか」が今後の経済成長の鍵となる。それには、国民一人ひとりの想像力や発想力、構想力を高めて付加価値を創出することが必要であり、それによって所得は高まり、経済が成長する、と考える。

その想像力や発想力、構想力を養う基礎となるのが、つまり「勉強」である。この先、日本の経済成長を実現するには、国民一人ひとりの「勉強力」を高めることが求められる、と確信している。ここでの「勉強力」とは、本書の性格上「資格を取る実力をつけること」と「資格を活かす方法を身につけること」に焦点を当てている。

「働きながら勉強する」ということは、時間や場所的な制約等、大変なことだと痛感している。だからこそ、一人でも多くの人が本書を通じて「自分なりの勉強法」を確立していただきたいと願っている。

ただ、「勉強法の確立」は一朝一夕にできるものでもなく、習慣化することが必要である。そのためには、ぜひとも本書を手に取っていただき、そして資格試験の勉強の際には、折を見て読み返していただき、自分なりの勉強法の確立に役立てていただければと思う。

できるだけ一人でも多くの人にとって、資格の勉強が苦痛でなくなること。また、自分なりの勉強方法を身につけることにより、今後より豊かな人生を歩むことができるよう、切に願っている。