芽生え

あの日 あの時

 

重ねた時間 重ねた思い出

重ねた たくさんの幸せ

わたしの手から こぼれてゆく幸せ

失われる記憶

失われたいろいろな 愛の形

 

心がばらばらに砕かれた その音が聴こえた

 

それでも

 

涙で前が見えなくても

わたしは前に進むと決めたの

いつかのあなたが認めてくれる人間になれるように

あなたが安心できる人間になれるように

 

だから 遠くから 見ていてね

なってみせるから 絶対に

 

気になるあの子

あの子が気になる

いつも伏し目がちで言葉少ない あの子が気になる

賑やかな世界の隣で ひとり静かに佇むあの子

なにを思って なにを抱いているのだろう

静謐な雰囲気の中心には なにがあるのだろう

 

あの子が気になる

子供っぽくもなく大人びてもいない あの子が気になる

あの子の瞳に映る世界は どんな色でどんな形なのだろう

今までの人生があの子を作り上げた その過程をこの目で確かめたい

それが邪(よこしま)な想いであっても

 

この想いは 友情でも恋慕でもない気がする

この想いは ただの偶像化に過ぎないのだろうか

それでも あの子の内側を覗いてみたいと思う

不安定な世界で あの子だけが確かな存在だから

わたしはやっぱり あの子が気になる