「はぁ…」
ついに来てしまった、土曜日。俊雄さんと悠希さんのお見合いの日だ。木曜日に俊雄さんに会って以来、彼から電話があったけど出ていない。何か嫌な事を言ってしまいそうで、怖くて出られなかった。
「ちょっと、亜紀。今日、溜め息つき過ぎ。何か嫌な事とか心配事でもあるの?」
見かねたのか、真由が声を掛けてきた。
「うーん、ちょっと悩み事、かな。でも私には解決はできなくて、モヤモヤしてる」
「何それ。もしかして彼氏の事?」
「う……」
「彼氏って真面目なんでしょ? 言いたい事言えば、ちゃんと答えてくれるんじゃない?」
「……言ったよ。でも、彼にも解決できない事だったの」
そう、社長からのお見合いの勧め……断っても強引に言われたら従うしかない。事情は分かっていても、恋人としてすんなり『良いよ』なんて快諾できるはずがない。俊雄さんの優しい性格を考えると、本当に断れるのか不安な部分もある。信じたいけど、信じているけど、それでも、もしかしてって不安は解消されない。
「それよりもさ、何でこの間電話した時、来なかったの? 正幸さ……長澤さん、楽しみにしてたのに」
「何をどう楽しみにしてたって言うの? 真由だって嫌でしょ? 他の女性が交ざるなんて」
「うーん、それはそうなんだけど……彼が喜ぶ事はしてあげたいし、彼氏のいる亜紀だし、問題はなかったよ?」
いやいや、大問題でしょ。エッチの時に他の女性を入れるって事は、いわゆる3Pってやつで、一人の男性を共有するなんて……私が真由の立場だったら頷けないし……許せない。
あ、そう言えば、お見合いって何時からなんだろう? 訊くの忘れちゃった。でも、きっと昼間だよね? ……でも、夜って事もあり得るか……。今日は連絡しない方が良いって感じかなぁ。俊雄さんからの連絡待ちって事か……。今日は長い一日になりそうだなぁ。