【前回の記事を読む】本音と建前に分かれた世界。それでも少年はまったくくよくよせず、希望をもって前に進んでいく【児童書】

ナンシン共和国って?

岳斗くん、今、どんな気持ちなんだろうなあ。

岳斗「んー、新しいことばかり……。楽しそう!と引き込まれるんだ。びっくり!」。

「そうか……新しいことが、楽しいのか! ……大人たちは楽しいはずが、このところ悩んでいる。だんだん、この国の雲行きが、あやしくなってきた。どう生きていけばいいのか、真剣に悩んでいるようだ。“何か重いもの”がのしかかり、頭がよく回らない人が多い。“老いては子に従え”という方法もあるので、おじさんも素朴になってみよう……と思ったんだよ」。

岳斗「僕たちは、友だちと仲良く遊ぶことしか考えていないよ。勉強が大事という意味も、よくわかっていないのに……。

それでも、僕たちのいうことを聞いてくれるの? うれしいな! 聞いてもらったうえに、通訳もしてもらえるから……」。

「そうか……。うれしいのはこちらだよ。通訳したいとおじさんが望んでいる。君たちの話を聞いて、どこに手を打てばいいのか、知りたい……。

この国の人たちが、どのような生きやすさを望んでいるのか知りたい。未来を生きる若い人たちの希望が、どこで邪魔され、くじけてしまうのか知りたいんだ。 今、この国には、優しい人がたくさんいるのに、なぜか、話し合いをさけている……」。

「話し合っているときに、よく見かけること……これだけ詳しく伝えたので、わかっているだろう……。と思ってしまう。これがどうも、いかん」。