2 身体の状態、頭の状態

腰にしっかり重心があり、上半身は柔らかく、みぞおちにしっかり力が入る状態をつくりあげることが出来れば、テンポの速い曲や難しい曲もこなせます。スポーツアスリートでも同じだと思います。逆にスポーツアスリートの身体づくりを勉強してピアノに応用することも可能だと思います。

駒の軸のように身体にまっすぐな芯棒が真ん中にあると意識し、腰に身体を乗せる感じを味わって上半身を柔らかく、しかし頭はフル回転しています。頭はフル回転ですが何を考えているかというと、頭ではただ間違えないように曲を歌っています。ただそれだけです。

1番と2番では少し違う部分があったりするので注意深く歌っています。いつも間違える箇所はしっかりとドレミで記憶させたり、ここの左手はドに行く!など自分の手にいい聞かせながら歌うこともあります。

頭で曲を歌えば身体がその曲を弾ける状態になってくるのです。それは誰でも出来ます。曲を歌いながら楽譜通り何度もなぞるように、はじめはゆっくり何度も弾くことで身体に覚えさせていきます。その後、規定のスピードで弾けるようにしていきます。

漢字を覚えるのと同じです。誰でも何度も書いていたら、自然と紙にその漢字が書けるようになります。ダンスでも一緒です。曲を流してターンして左足を出す、など繰り返していたら、身体が覚えて曲を流せば勝手に動いてくれます。

人の身体はそういうふうになっているのです。でも身体がカチンコチンだとなかなか動いてくれません。軸がズレていてもキッチリ動いてくれません。

つまり大切なのは、身体を意識してつくっていくことです。上手、下手はこの身体が出来ているか出来ていないかにかかわっていると思います。心と身体は連動しているので、精神が安定した状態でなければ身体はカチコチで軸もずれてしまいます。

また真面目な子にありがちですが、ドからミにいってソからなんて思考し続けて弾いていては、いつまでたっても弾けません。思考から手放して、力を抜いて身体に覚えさせることを意識しなければなりません。最初の譜読みの思考から徐々に身体に手渡していく勇気が必要になります。

 

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