「怒らないで、怒らないで、あなたの親があなたを待っている」

それで若者ヒョウが振り向いてみると、先ほどまで虎の立っていた所に親ヒョウが黒光りする体を一層大きく見せて立っていました。優しい温かい目で迎えているのが分かりました。周りの動物たちの目も、先ほどまでと違って、優しい、温かい目になっていました。

若者ヒョウはゆっくり、ゆっくり、親ヒョウの所へ行きました。

親ヒョウは言いました。

「おかえり。優しい心で、すっかりたくましくなって帰って来てくれて、私は嬉しい。

先ほど虎の若者と戦ってもらったのは、あの程度の者にたじろぐぐらいなら、とうてい私のあとを継がせられないと思ったからだ。

それから弱い優しい動物たちに襲われたとき、怒りにまかせて追い払うようなことをしていたら、やはり私のあとを継がせられないと思っていた。

でもお前はどちらも見事に私の期待にこたえてくれた。お前は立派に私のあとを継いでいけるだろう」

若者ヒョウはそれを聞くと、ヘナヘナとそこに倒れ込みそうでしたけれど、足を踏ん張って立っていました。

さぁ、それからが大変。森の動物たちが集まっての、森の大歓迎会です。夜遅くまで、歓迎の宴が持たれたのです。リスさんもウサギさんもいました。熊さんも象さんもやって来ましたよ。

宴もたけなわの頃、若者ヒョウは、そっと立ち上がると皆を見て回りました。誰もがニコニコ、ニコニコ、していました。若者ヒョウは、皆のその楽しそうな表情を見るにつけ、これから待ち構えるであろう、さまざまな試練に思いをやって、一人身を引き締めるのでした。

 

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