【前回の記事を読む】森で生まれた黒ヒョウの子は父親のように強くなるために旅立った。やがて立派な若者に成長し、生まれ故郷に帰ってきたが……
第1章 森の動物たち
森の学校
小さい皆さん、こんにちは。
今日は、森の学校のお話をします。
毎年夏になると、森の学校が開かれます。まだ小さくてヨチヨチ歩きの森の動物たちが集まって来ます。色々な動物のこどもがいます。
その学校の校長先生はふくろうさんです。ふくろうさんは大勢の動物のこどもたちを前にしてお話を始めます。
「さて、ヨチヨチ歩きの小さな皆さん、森の学校へようこそ。皆さんはちっちゃくて、触れると壊れてしまいそうです。でも小さければ小さいほど大きくなれる可能性があります。
今の皆さんにとって一番の幸せは、まだ未来が何一つ決まっていないということです。あなた方のこれからの努力によって、いかようにも未来を切り開いていくことが出来るのです。
あなたがたの多くが憧れている鳥さんにも、多くのものがなることが出来るし、あなたがたの多くが嫌っているもぐらさんにも、多くのものがならなくて済むのです。あなたがたの親が何であるかは関係なく、何もかもこれからのあなた方の努力次第と言っていいでしょう。
今現実に森の中には色々な動物たちがいます。でもそれは、そのものの小さなときからの努力の結果であって、初めからそう決まっていたわけではないのです。ですから小さな皆さん、あなたの未来を信じて努力を惜しまないで下さい。私の話は以上です」
それを聞いていたかばさんのこどもが言いました。
「私も大きくなったら空を飛ぶことが出来ますか」
ふくろうさんは言いました。
「出来ますとも、出来ますとも。あなただって努力次第で立派に鳥として空を飛ぶことが出来ます」
やがてふくろうさんの話を聞いたこどもたちは、それぞれの家へ帰って行きます。そして目を輝かせて、なりたいものを夢見ます。
そうしたこどもを見て親は、自分も小さいときそのように聞かされて、ちょっぴり幸せになったことを思い出し、微笑むのです。