若者ヒョウは動物たちをざっと見回して自分の親を探しましたが、自分の息子がここに帰ってくる、この日の集まりにも参加することを許されていないようでした。
若者ヒョウはそれを知ると、体中の若い血が煮えたぎってカァッとする思いでした。今は森の王様格になった虎は、帰ってきた若者ヒョウに向かって言いました。
「お前がどれほどのものになったか、試してやろう」
それで自分の一番上の息子の虎を若者ヒョウに立ち向かわせました。若者ヒョウが激しい闘志で息子の虎を睨みつけると、虎は体がすくんで動くことが出来ませんでした。親虎は怒って、三頭の自分の息子たちに揃って打ちかかるように言いました。
三頭の虎は恐ろしい唸り声をあげ、猛然と若者ヒョウに飛び掛かりました。でも、若者ヒョウはひるみませんでした。ここでは、もう一歩も引けないという気迫が、三頭の虎を圧倒したのです。
ついに親虎は怒り狂って言いました。
「不甲斐ない息子たちだ。もうお前たちには頼まない」
それから周りの動物たちを見回して、
「皆で、皆で、こいつをやっつけるんだ」
と言いました。それを聞くと、取り囲んでことの成り行きを見守っていた動物たちは、一斉に若者ヒョウに飛び掛かりました。ウサギや猿や鹿が飛び掛かりました。皆、昔、若者ヒョウと一緒に遊んだことのある、どちらかと言うと、弱い仲間たちでした。
若者ヒョウはそんなたいして強くない昔の仲間に飛び掛かられて、悲しくて、悲しくてなりませんでした。とても力にまかせて払いのけたり、噛みついたり、引っかいたり出来ませんでした。
とうとう若者ヒョウは逃げ出すことにしました。これらの動物たちを追い払っても、何の名誉なことがあるでしょう。残念ではありましたけれど、逃げだしたのです。
王様格の虎はそれを見て笑い出しました。皆も笑い出しました。何ともいえない声が森の中に満ちました。若者ヒョウは激しい屈辱に、気が狂いそうでした。
でもそのとき、頭の上に沢山の小鳥が飛んで来ると言いました。