ありのままでは受け入れられない
モデル バランス感覚がなさすぎる人 二四歳
例えば
「甘えん坊 八方美人 優柔不断 自己中 虚栄心の塊(かたまり) 意志薄弱な怠け者 引っ込み思案 事なかれ主義 神経症で完璧主義 悲観論者……」
自分で自分を評価しようとすると どうしても短所ばかりに目がいってしまうし
それらが自分の全てなんだと拡大解釈してしまいがち
自分の短所ばかり見ていたら 自分が価値のない人間に思えてきて 自殺したくなった
だからと言って 逆に
「強い責任感 几(き)帳面 慎重 素直 謙虚 優しい 協調性と柔軟性に富む……」
自分の長所(と思われる点)だけを意識的に取り出し
(参考:就活応援サイト「面接で短所を長所に言い換える方法」)
それらを呪文のように反復して
自分の長所ばかり見ていたら 調子に乗りすぎて ただのナルシストになった
長短を含めた リアルな自分を 正確に認識して
ありのままの自分を肯定することは かくも難しい
例えば
「強いリーダーシップ コミュニケーション能力とおう行動力せい がピカイチ 頭の回転が速い 要領が良い チャレンジ精神とホスピタリティが旺盛 社交的で情熱的前向き且つ負けず嫌い……」
自分が他人を評価しようとすると
どうしても自分にはない要素ばかりに目がいってしまって
周りが皆 強そうに 幸せそうに見えてしまう 羨(うらや)ましくて 怖くもなる
社会の中で 他人と対等に付き合っていく自信がなくなって やっぱり自殺したくなった
だからと言って 逆に
「権利ばかり主張する 周囲の迷惑を顧(かえり)みない 自己愛が強い 攻撃的でキレやすい 情緒不安定 すぐ人のせいにする……」
他人のあら探しを始めると
いいところが全く見えなくなり 非難したくなる
憎き敵に見えてきて この社会から排除しなければという 歪(ゆが)んだ正義感が芽生(めば)えてくる
長短を含めた リアルな相手を 正確に把握して
ありのままの姿で愛することは かくも難しい
いつまで経っても 人間は 自分に対しても 他人に対しても いがみ合ったまま