【前回の記事を読む】「八方美人、優柔不断、自己中、虚栄心、意志薄弱な怠け者、引っ込み思案…」自分を評価すると短所ばかり出てくるが…
Ⅰ 迷わずに「世界平和」よりも「セックス」を選ぶ人達
自分のことは棚に上げて
モデル 友達が極端に少ない人 二七歳
あなたの周りに こんな人はいませんか?
どうか温かい目で見てやってください
実は 意外と 彼のような人物は珍しくないと思うのです――
トシヒロは 結婚願望がないわけではない 周りにいい人が全くいないわけでもない
しかし トシヒロが言うには
サユリは 「性格や価値観は合うんだけど 色気のない点がだめ」
スミレは 「頑張り屋さんだけど 不器用な点がだめ」
カオリは 「美人だけど 気配りが足りず 職場での評価が低い点がだめ」
ユイは 「頼りになるし仕事もバリバリこなすけれど 気の強い点が自分とは合わない」
カズコは 「穏やかで一緒にいて落ち着くけど もっと明るくて刺激が欲しいからだめ」
マリエは 「ただ一つ 身の回りの整理整頓が苦手な点が どうしても受け入れられない」
アヤカは 「総じて平均値には達しているけれど 何か一つ飛びぬけた魅力のない点がだめ」
そういう点では 減点する要素が最も少ない マユミが一番になるのかと思いきや
「出会った時には 既にバツイチだったからだめ」
……なのだそうだ
トシヒロはよくボヤいていた
「ああ 僕が心から愛せる女性は いつまで経っても現れない」と
どうやら トシヒロは 大いなる勘違いをしていることに気付いてないようだ
実際には トシヒロのいないところで
サユリは彼のことを 「冴(さ)えない風貌(ふうぼう)のくせに 面食いな点がだめ」だと言っている
スミレは彼のことを 「物臭(ものぐさ)でどんくさいくせに 何事もてきぱきとこなす女性が好みだと公言している点がだめ」だと言っている
カオリは彼のことを 「自分の都合しか考えていないくせに 職場で誰からも好かれようと立ち振る舞っている点がだめ」だと言っている
ユイは彼のことを 「決断や指示を他人に丸投げして 自分に責任が降りかからないように立ち回る点が 自分とは合わない」と言っている
カズコは彼のことを 「たいした個性もないくせに 華のある人気者を追いかけている点がだめ」だと言っている
マリエは彼のことを 「ただ一つ 厄介(やっかい)な場面に出くわすとすぐ逃げようとする点がどうしても受け入れられない」と言っている
アヤカは彼のことを 「自分が相手からどう見られているのか 真剣に分かろうとしない点がだめ」だと言っている
マユミは彼のことを 「永遠に結婚できない」と言っている
そして 全員が共通して こうも付け加えていた
「彼は 自分のことは棚に上げて 相手に完璧を求めてばかりいる」と