不自然? 2011年9月7日 クッキー4才6か月

ありがたいことに、このところ、最高気温が30 ℃を切る日が続きました。もう9月。季節の移ろいの気配でしょうか?

先月まで4週ごとだったクッキーの“散髪”(トリミング)を、5週ごとに変えました。クッキーの抵抗(車から降りたくなーい! お店に行きたくなーい!)は以前ほどではなくなったけれど、やっぱり、Happyではなさそうなので、もう少し間を空けてあげようか、というわけです。

で、5週目ともなると、クッキーはかなりな“もじゃ子”になります。彼女はブラッシングが嫌いだし、カアサンもさぼりがちなので、トリミング前後の落差は大きい。

見た目だけでなく、トリミングの後のフワフワ被毛の感触は、ホントに気持ちいい。

だけど、もし、このまま半年も1年も散髪しなかったら? クッキーは多分、毛の固まりになってしまうかもしれない。顔も足も毛で覆われて、目は見えにくくなるし、ごはんも食べにくくなる。足の肉球も毛で覆われてしまうから、歩きにくくなる。耳の中も毛だらけになる(最初のグルーミングのとき、耳の毛も抜くと知ってビックリ!)。

SFではない、あり得ることです。怖いことです。羊も、被毛が伸び続けて暖かいセーターを提供してくれるけど、生きるのに大事な顔や足には毛が生えない。

それで、今になって初めて気づきました。クッキーは、トイプードルは、とても“不自然”な生き物だということに。

ネコはもちろん、馬だって、牛だって、籠の鳥だって、水槽の魚だって、そして、ワンコの大方も、それぞれの場所に放てば、しっかりと自立して生きていける。

でも、全身の被毛が伸び続けるトイは、人のケアを受けなければ生きてはいけない。自然界に自立できる場所はない。長い進化の過程を経て今存在する生物ではなく、紛れもなく、人間が作り出した生き物なのです。

トイの原種のスタンダードプードルも、“伸び続ける被毛”があって初めてあの独特のカットができるのだと、今さらに思う。スタンダードの歴史もとても古いらしい。

ということは、そんな大昔に、人々の、多分貴族の興趣を満たすために、“伸び続ける被毛”を持つ犬が作り出されたのでしょう。

この賢くて愛らしい、けれど、負の形質を背負った“散髪”な生き物と思いがけず家族になったカアサンとしては、人としての責任を改めて深く意識しました。

 

次回更新は7月24日(木)、18時の予定です。

 

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