地震 2011年3月28日 クッキー4才1か月

2011年3月11日(金)、この日の出来事、そしてこの日に続く人々の試練は世紀を超えて語り継がれていくことでしょう。

カアサンにとっても初めての経験。大きな揺れに、部屋のどこかの構造物がきしむような音、終わりがないように長く感じられました。

最初に気づいたのはクッキー。飛び上がって天井を見渡しながら走り回り吠えたてた後、カアサンに飛びついてきました。カアサンは固まったクッキーを抱いて机の下にもぐり、次に玄関ドアを開けに行ってしがみつく。

お隣の息子さんもドアを開けて張り付いている。会釈程度しかしたことのない彼と二言三言、これはおまけ。

やっと収まってみると、机の上に不安定に積んであった書類が床に落ちた程度で済んでいた。ラジオからは、東北に“震度6強”“津波”、各種交通機関ストップのアナウンス。

夕方、家に帰ってテレビに釘付け。息をのむような津波の映像が、これでもかこれでもかと続く。凍り付いたような人々の顔、顔、顔。

大切な家族、思い出の品々、愛着のある物たち、現金やカード類など日常生活に必須な品々、何十年、もしかしたら何百年、家族とともにあった家、街並み、林や森、ふるさとの全てが、巨大な津波に捕らえられ、暴君のような津波が去った後には、一面のガレキの山が。

新聞に載った1枚の写真、パンを1つ手渡されて涙をぬぐう女性の写真に胸を打たれました。テレビの1コマには、1膳の温かいご飯に涙する女性の姿がありました。

その涙は、決して1つのパンや1膳のご飯のためではない。万感こもる涙なのでしょう。

外国人が賛嘆したという、人々の冷静さと秩序、他者への気遣いの内面には、のど元までこみ上げる悲しみと、触れれば溢れる涙があるのです。

本当の悲しみと苦しみはこれからやってくる。神様がおられるのならば、被災した全ての人々を固く抱きしめてあげてください。行政と私たちには覚悟が必要です。票目当てのばらまきと見ざるを得ない子ども手当、高速道路無料化などなど、「凍結の可能性」「つなぎ法案」などと未練がましく執着するのはいい加減にしてください。

次回更新は7月17日(木)、18時の予定です。

 

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