「そのモニターって、蒼が突然試験導入したやつだろ。小林さんが言ってた」
「そうよ。だってその前の週にはなかったんだもの。どうも業者にその日に電話してもって来させたみたいなの」
「そのモニター今でもあるかい?」
「ええ、あるわよ」
「よし、四階に戻ろう」
一夏が倉庫から新型のベッドサイドモニターを運び出すと、海智は機種や型番の写真を撮り始めた。そこに、小林が眉間に皺を寄せてやってきた。
「ちょっと、何してんの」
「あ、ちょっと、彼が機械に興味があるみたいで・・・・・・」
一夏が慌てて妙な言い訳をした。
「まだ勤務時間終わってないんだからね。復帰したばかりだからっていい気にならないでよね」
「すみません・・・・・・」
「あの、小林さん、七月十八日、僕が入院した日に日勤されていましたよね。その日にこのモニターは導入されたんですか?」
「ええ、そうよ。蒼先生が午後になって急に業者と一緒に病棟に来て、『今日から新型のモニターを試験導入することになったから』って。
私達、何も聞いていなかったから急には無理ですって言ったんだけど、『今から転棟する中村大聖に使うから。自分でするからナースは分からなくてもいい』って。
どうせ管理するのは私達なんだから何言ってんのと思ったけど、あの先生言い出したら聞かないからね」
「他に何か変わったことはありませんでしたか?」