【前回の記事を読む】あなたの会社は大丈夫? 目先の財務改善よりも大切なこと【理想の会社とは】

第1章 現状把握と事業変革

Ⅱ. 見える化

次におすすめするのが見える化です。

見える化は、現状を把握するだけではなく、標準化、効率化にも有効なうえ、事業変革の効果把握も期待できます。現場だけでなく、会社全体の「見える化」で全社的な経営改善が見込まれます。

・管理部門の見える化

管理部門は、処理プロセスの分析と標準化・電子化が有効です。どこの会社も同じような処理をしている分野ですので、クラウドサービスの導入も効果的です。筆者が導入した購買システムでは電子伝票の所在位置が把握でき、検収待ちを的確に催促して大幅に残業を減らすことができました。

・営業部門の見える化

営業成績の数値化が大切です。また、ベストプラクティスという形で、営業成績の良い営業スタッフのノウハウを標準化して他の営業スタッフと共有することが考えられます。顧客変化も大切です。アンケートの活用やSNSの分析などで明らかにします。

・サービス部門の見える化

クレームはその場対応になりがちですが、進捗状況を見える化することは、顧客サービスの第一歩です。アフターサービスをメニュー化することも重要です。対応のマニュアル化や監査体制も必要です。

・設計開発部門の見える化

スケジュール管理、思考プロセスの見える化、トラブルの見える化、情報共有などが考えられます。開発者こそ、コミュニケーションの中から、顧客の満足につながる創造的なヒントを見つけてほしいです。

・製造部門の見える化

QC工程表※1、作業標準書、重点管理点の設定、5Mの変化点※2の管理、モチベーションの見える化などがあります。有名なのは生産ラインの「アンドン(行灯)方式」※3です。このランプで稼働状況がわかります。

・見える化の推進は目的を持って

見える化は組織的に継続的にPDCA※4で実施することで効果が上がります。経営トップが主導する全社改革活動を目的として行う例もあります。目的を持って全社で徹底的に見える化を進めましょう。

参照:35 Ⅳプロセスマップ~業務改善と連携強化、39 外に目を向ける~ベンチマーキング

2 事業変革~成功のために

経営診断で見つかった課題や環境分析から理想の姿を描き、それに向かって事業変革を進めます。事業変革では変革を推進する部門が重要となります。中小企業では総務部門が期待されます。

Ⅰ. 事業変革の概要

環境の変化に対応し切れていない場合には、組織、風土などを抜本的に変革する企業変革が必要です。抵抗を防ぎながら変革を推進するステップが必要です。

・事業変革を成功させるチェックポイント

事業変革が失敗しないチェックポイントは下記のとおりです。

現状把握と事業変革 

1.変革が必要な理由を明確にしないため、危機感が不足していないか。

2.理想の姿、ビジョンがない、あるいはビジョンを作るだけで安心していないか。

3.変革する体制がないため、日常業務に埋もれていないか。

4.反対する者を放置していないか。

5.成果を実感させずにいないか。

6.風土まで定着させずにいないか。