八、村の子供たちから関西弁とランドセルでいじめられた
ぼく個人が悪いのではない。ねたみや羨ましさからくるいじめだと気付かされた。
祖父の言う通りだと思った。嬉しかった。祖父が一番僕のことを分かってくれる強い味方だと思い胸にさらに抱きついた。
「おじいちゃん。ありがとう。うまくいくかどうか分からないけど、おじいちゃんの言う通り明日やってみるわ」と言うと、「やってごらん。きっとうまくいくと思うよ。お前ならできる。頑張って」と微笑みながら両肩を優しくとんとんと叩かれ励まされた。
その後、祖父を自転車落下現場へ案内した。「おじいちゃん。ここや」と指さした。祖父は、急な坂をおりて田んぼの中から汗を滲ませながら子供自転車を抱えて引き上げてくれた。
「おじいちゃん。ありがとう。ありがとう」
嬉しくて祖父の腕に思わず寄り添った。祖父は、黙って頭を撫でていてくれた。
自転車を押しながら祖父と二人で家に戻った。日頃は、厳しい祖父だと思っていた。僕のために心から優しく思いやり溢れた祖父に気付いた。祖父が、さらに大好きになった。
翌朝、祖母が夜なべで作ってくれた肩掛けカバンに教科書を入れて、みんなの待つ集合場所に行った。「みなさん。おはようございます」と関西なまりで大きな声で挨拶した。
みんなあ然として顔を見合わせた。「棚橋、ランドセルは?」と上級生が聞いた。