①ガルカネズマブ(エムガルティⓇ)

2021年4月に日本イーライリリー株式会社と第一三共株式会社より発売。CGRPに対するモノクローナル抗体で、1か月に1回の皮下注射です。初回のみ120mgの注射を2本(240mg)接種します。ローディングドーズといいます。

このことによって血中濃度が早く立ち上がるため、早い効果が期待できるのが特徴とされています。1か月後からは毎月1本ずつ注射します。

アテオスⓇという専用のオートインジェクター(注射器)で自己注射も可能です。

この注射器は糖尿病の治療薬と同じ注射器を使用していますので、安全性、簡便性、使い勝手の良さは実証済みのものです。

エムガルティの臨床試験では、プラセボ(偽薬)群に対して1か月あたりの頭痛日数が約50%に減少し、他の予防薬で効果がなかった人でも片頭痛日数の減少が報告されています。

また、頭痛がないとき(発作間欠期)の症状である、眠気、疲労感、集中力低下、睡眠障害、気持ちの落ち込みなどの症状の改善が報告されています。

 

②エレヌマブ(アイモビーグⓇ)

2021年8月にアムジェン株式会社より発売。CGRP受容体に対する抗体で、他の2種類(エムガルティⓇ、アジョビⓇ)と作用の仕組みが違っているのが特徴です。エムガルティⓇとアジョビⓇはCGRPに対する抗体ですが、アイモビーグⓇはCGRPの受容体に対する抗体で、受ける側に蓋をすることでCGRPが増えても脳に痛みが伝わらなくなります(図6)。

また、完全ヒトモノクローナル抗体というところも他と異なっています。他の2種はマウス由来の成分がわずかに入っていますが、アイモビーグⓇは完全にヒト由来の抗体ですので、より免疫原性が少なく副反応が少ないことが予想されます。

海外では一番最初に発売され、5年間の長期投与での安全性のデータがあります。4週ごとに1回の皮下注射で、オートインジェクターによる自己注射も可能です。