当たり前のこと
あれから二日。今は木がアーチのようになっている森を歩いていた。ティーナとログはそれなりに仲良くなり、今は笑いながら雑談をするくらいだ。さっき湖でクジラくらいの大きさがありそうな魚に襲われ、全速力で逃げてきたところだった。
「さっきの魚、大きかったねー」
「あれマジでビビったわ」
「あれをさばいて食べたらおいしかっただろうなぁ」
「どんだけ食いしん坊なんだよ」
そんな雑談をしていると、突如足元から可愛い鳴き声が聞こえてきた。
「にゃああ」
足元を見ると、自分たちを見上げながら体をこすりつけてくる愛くるしい見た目の黒猫がいた。
「可愛い!」
「なんだこいつ?」
「あんた名前はー? どこからきたのー?」
猫にデレデレしているティーナに、ログは若干引き気味だった。確かに可愛いけれども。
猫はティーナたちから離れると、振り返って「にゃー」と鳴いた。
「こっちに来てって言ってるのかな?」
「わかるのか?」
「なんとなくだよ」
すると、猫は全速力で走り始めた。
次回更新は7月2日(水)、12時の予定です。