【前回記事を読む】「お前は、人殺しと仲良くできるか?」そう言って一瞬私を睨みつけ、すぐに話題を切り替えた。…言いたいことがすぐに分かった。

第二章 旅立ちと仲間

突如現れたその人は

「なんだよ」

「傷、手当てする」

「はぁ?」

「いいから来て」

「なんだよ、いったい」

「これはただのわがまま。いいから来て」

ログをそのまま公園へ引っ張っていき、持ってきていた包帯や絆創膏を取り出した。

「別にこれくらい一人でできるんだけど……」

「いいの。あーしがやるの」

ログは珍しく反論もしないで、おとなしく手当てを受けた。背中のほうにかなり傷を負っていて、よくこの傷で生きてたな、と思った。これは恐らく、傷が残ってしまうだろう。その途中で、ティーナはどうしても言いたかったことがあり、怒られるのを覚悟で言った。

「ねぇ、もしかしてさ」

「?」

「ログってわざと態度悪くしてたの?」

「っ……」

後ろ姿からでもわかる動揺にティーナは気がつかず、さらに追い打ちをかける。

「態度悪くふるまっておけば『こいつ仲間に誘うのだけは絶対嫌だ』とかあーしが思って、面倒ごともなく別れられると思ったからなの? あーしのこと死なせたくなかったから?」

「ゔ……」

(え、嘘でしょまさか図星?)

笑うな、笑うな。ティーナは自分に言い聞かせる。

この人が自分に態度悪くふるまっていたのは「誰も失いたくない」という思いからだ。

そもそもこの人は自分を守っていてくれたじゃないか。だが、正直すぎる口角は緩んで上がっていっている。だって、あんな『俺は一匹狼だ……』というオーラを自ら発していたなんて……ましてや、それがバレて赤面しているなんて、境遇やその理由が酷くても、面白いと思ってしまうのだ。