「ふふっ……」
「笑ってんじゃねえよ!」
「いや、あの、そうじゃなくてね……ありがとうね、ログ」
「はぁ?」
ログはティーナの方を振り向く。絶対に馬鹿にされると思っていたのか、意外そうだ。
「いろいろ考えてくれてたし、あーしのこと助けてくれたじゃん。だから、ありがとう」
ログは、目を丸くした。いろんなところに目を泳がせて、結局は俯(うつむ)いた。そして、しばらくした後、
「……あぁ」
そう、小さく頷いた。
そして、手当てが終わった時、ティーナはログに改めて仲間になってほしいと頼んだ。
「だから、嫌だって」
「ログには仲間が必要だよ。それに、アッシュウルフと戦ってた時、あーしが来てなかったら死んでたよ? なにより、あーしはログを仲間にしたい。強いしね」
「……もしお前が死んだら、どうすんだよ」
「その時は呪っていいよ」
「呪うって……」ログは呆れ顔でティーナを見る。
「それにさ、なんかログが笑った時、さみしそうだったからさ、あーしなんか悔しいというか、なんであーしはこの人にこんな顔させてるんだろって……これはただのあーしのわがままだよ」
今度は、はっきり言えた。
ログはそれを聞くと、目を丸くした。しかし、すぐに表情が柔らかくなって、笑い出した。
「はは……わかったよ。わがまま、聞いてやるよ」
「ほんと! ありがとおぉ、ログーっ!」
ティーナは喜びのあまりログの手を握り、満面の笑みで言った。あまりにキラキラしている笑顔に、ログは苦笑いをうかべる。
「それと、ありがとな、ティーナ」
「ふぇ?」
人が真剣に感謝を伝えているというのに、きょとんとしたままの彼女の頬を引っ張ってやりたくなった。そうしたらきっと、「痛い痛い!」と間抜けな反応をしてくれるだろうから。
「……騙されてみるか」