『あのねぇ、死にそうになってる人を見殺しにできる?』

「もしかして、あーしを守るために戦ってくれてたの?」

「……」

ログは、ばつが悪そうにそっぽを向いている。

「あーしが来るずっと前から、足止めしてくれてたの?」

「……」

「あんな傷負ってまで?」

「……この件で俺を見直して、やっぱり仲間にしようとか考えても無駄だからな」

またもや考えていたことを見抜かれて、ドキッとした。しかし今回は恥ずかしい、などの感情は全くなく、それよりも理由を聞きたかった。

「どうして?」

「お前は、人殺しと仲良くできるか?」

「えっ?」

ログは、一瞬ティーナを睨みつけたが、すぐに他の話題に切り替えた。

「昔一緒に旅をしてる仲間がいた。仲間っつーか、『兄弟みたいなもの』だな。あいつはいい奴だったよ。でも、襲われた時、あいつは俺をかばって死んだ」

「あ……」

ログの言いたいことが、すぐにわかった。

ログはもう、誰かが死ぬのを見たくないんだ。

「これ以上誰かが死ぬの見るくらいだったら、仲間なんていらない。理由はこれで十分だろ?」

その時、ログは振り返って、初めて笑った。とても、悲しそうに。

ログはそのまま、立ち去ろうとした。そんな彼の背中を見ているのが嫌で嫌で仕方なくて、気がつけばまた、ログを引き留めていた。

次回更新は7月1日(火)、12時の予定です。

 

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