『真由子さんは予約キャンセルを繰り返し、今月は5回以上となってます。そして僕との約束でもう書かないと言ったイケラブ掲示板への書き込み、まだ全然やめずに続けてますよね? セラピストとしての僕にとって非常に迷惑行為であり、営業妨害です』
流星は、真由子をNGに指定した理由をきっぱりと伝えてきた。たまらず真由子は食い下がる。『今後は、予約キャンセルも一切しませんし、掲示板にも書き込みを絶対しないのでお願いですから、流星くんのお客様として復活させてください 』
平謝りに謝った文章を必死の思いで真由子は流星に送った。するとまた流星から、
『その事については先ほどお答えしたのが全てですので変わりません。ただ僕が出た大学名や本名など、全て偽りの事をお伝えしていました。いろいろ嘘を伝えてしまった事は、申し訳なかったです』
『出張デートした時、クイズに答えて流星くんの下の名前を教えてくれたアレ、嘘だったんだ。そして私が最初に、出身大学を予想して当たりましたって言われて信じてたのも違うなんて……あんまりだよ……』
『真由子さんは、思い込みと勘違いが多いヒトなので……まぁ、申し訳なかったです』
『酷い……私は流星くんとツインソウルだって言われて信じてたし、ここまで実際の恋人みたいなコトをたくさんして仲良くしてきたのに……急に突然NG客にするなんて。
最近ずっとLINEの返信もなく冷たくされてたから、キャンセルを繰り返してしまったんだよ。楽しみにしてたテーマパークでのデートもずっと塩だったし、精神的に落ち込んでおかしくなって、だから私……』
『テーマパーク出張デートで塩対応だと感じさせたのは申し訳なかったです』
その後しばらくして、可愛いイケメンが両手を広げて「おいで」と手招きするスタンプが流星から送られてきた。
(……もしかして流星くんはまだ私を少し好きなのかもしれない。じゃないとこんなスタンプ……)
真由子は再び流星にLINEした。
『個人でお金を支払うので、それでデートとか、お客とセラピストとして会うのは出来ませんか?』流星からの返信を待っていたが、それはなかなか来なかった。その代わりと言うべきかその日の深夜になって、
『……最後まで真由子さんに、俺の本音言えなかったなぁ……』
と短いLINEが真由子に届いた。その意味を言外に汲み取った真由子はあまりにも切なく、涙がとめどなく流れ落ちた。ツインソウルと言われて固い絆があると思われた2人なのに、突然の断絶が訪れた。
次回更新は7月4日(金)、18時の予定です。