【前回の記事を読む】「個人でお金を払うので、また会えませんか?」…返事を待つ。深夜になって、短く悲しいLINEが届いた。
Chapter 2
拒絶
真由子は、数日後、気を取り直して流星にLINEをもう一度送ってみたが、その日も翌日も既読にならなかった。
おかしいと思い、真由子はスタンプを送信相手にプレゼント出来ればブロックされてないというのをネット記事で調べて、さっそくやってみると、真由子が流星に送ろうとしたスタンプは「お相手が持っているのでプレゼント出来ません」と表示された。
おかしい? もしかして流星がそのスタンプを本当に持っているのかもしれないと思い、真由子は別のスタンプをプレゼントしようとしたが、それも持っているのでプレゼント出来ませんと表示された。
店用の流星のインスタを閲覧しようとすると、それも「ユーザーが見つかりません」の表示が出てきた。真由子は、呆然とした。
流星と今年3月初めにパラダイスアロマで出会って、 33歳も年の差があり、お客様とセラピストという関係性ながら、ツインソウルだとお互い発見して、まるで恋人のように過ごしてきたのに、その流星に完全に拒否されたのだ。
信じられない……真由子は呆然自失となりその場に座り込んで動けなくなった。真由子は流星のLINEとインスタの拒絶が分かってから、絶望に打ちひしがれた。
流星と連絡が取れない、それが真由子の前に突き出された厳然たる事実だ。流星は真由子の存在を完全に拒否して、まさに振ったのだ。真由子は最近、流星と上手くいかない事に悩み、夜布団に入ってから、電話霊感占いを利用するようになっていた。
実際、安い先生で1分250円、人気の先生になると1分300円から400円以上の先生もいた。そんな高額な占いに一回30分近くかけると軽く1万円が毎晩のように引き落としされていった。
金額のことを考えて利用を控えるという冷静な判断力なんてものを真由子は、とうに失っていた。流星の気持ちを知る為、そしてどうすれば、またいつになったらNG客を解いて貰えるのか?
電話の向こうの霊感占い師に、すがる思いで毎晩、1人の先生の答えが気に入らない時は、2人目の先生まで聞いたり、いわゆる占い師巡りのジプシー状態が始まっていた。
「NG客が解けるまで半年、いや1年間はかかりますね……うーん、ちょっと厳しい状態ですよ」
大半の占い師の先生は、ほぼ同じような見解で、あまり希望が持てるような答えは頂けなかった。ある占い師が約3ヶ月クリスマスまでにNGが解けると言ってくれたので少しだけ希望が持てたが、それでも3ヶ月も待つのは苦しい……。真由子は泥のように沈んだ気持ちで毎日を過ごしていた。
今思い返しても、その頃の記憶は、辛過ぎたせいか大半を脳が消去したのか、真由子自身、詳細をあまり思い出せないでいる。