{ある日の部活(白川朗子)}
「今日は陸トレだって本当?」
シーズン序盤の半ドン後の練習は、プールの水がとても冷たい時は…普通に冷たい時は泳ぐのだが…、陸上トレーニングだ。
深田君が言う。
「うん、天気はいいけど水温がやたらと低いので、寒がりの白川に敬意を表して陸トレ。ランニングはいつもの井の頭コースで決定」
そこに、西尾君がいつもの調子でニヤニヤしながら言う。
「こんな天気に井の頭まで行って、ボートにも乗らずに帰ってくる青春は寂しくねえ? 白川、公園に着いたら2人でボートに乗らない? あっ、あのボートに乗ったアベックはお別れか」
「西尾君となら疎遠になりたいくらいだから、今日だけは一緒に乗ってあげようか?」
「白川、冷てえ。プールの水より冷てえ」
深田君がそろそろおしゃべりを打ち切りなって感じで「公園に着くまでに決めたらいい(笑)。さあ準備」と言ってくれたので、
他の部員も含めて、それぞれの更衣室でエンジ色の部ジャージに着替えて、校庭に全員集合し、部伝統のウォーミングアップ体操を、みんなで掛け声を出して行ってから、井の頭公園まで片道約2.5kmの往復走に出た。