「アプローチしたのかよ」

「するわけないだろ、まだ知り合ったばっかだし。姉貴の同級生で、取り巻きもいるし」

「取り巻き?」

「いつも姉貴のほかに友達が二人一緒にいる、僕が声とかかけたらすぐバレるし」

「なんで? バレていいじゃん。好きなのは彼女なんだろ。えーと誰だっけ」

「瀬菜さん」

拓也は4杯目のレモン酎ハイのせいか、どんどん饒舌になってきた。

お前さ、バカか。好きなら告白すりゃいいじゃん。LINE交換してねえの?」

「だからさ、取り巻きいるし、そんな単純じゃないし」

「各個分断して、集中して攻めるべし」

「何だよそれ」

「お前さ、周りとかって言ってるけど、それ、ビビってアプローチできない言い訳だろ」

拓也は、少しむかくつけど、結構グサっと本質を突いてくる。

「好きなんだったら、瀬菜なにがしのゲット作戦開始しろよ、計画して集中しろ。ボケすけ」

「ゲットって、瀬菜さんは物じゃないし」

「欲しいもののために、計画を立て集中。集中、集中して攻撃」

「集中?」

「そう攻撃の要諦は集中! ロンメルも言ってる」

「それって誰?」

次回更新は6月29日(日)、22時の予定です。

 

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