長老たちは笑顔で玲蓮の顔を見た。
「玲蓮、君を責めているのではない。これまでの最高を超えて、人間が感知できる味覚の到達点、つまり究極のスープを君に求めてきたのは我々だ」
玲蓮は蒼白の顔を上げた。
「実は、皆で話したのだが、一つ提案がある。おそらく君は反対するだろうけど……」
玲蓮の隣の長老が、さらに一枚のリストを前に置いた。
「これを使えば究極のスープを作れるかもしれない。しかも廉価にね」
「?」
「ここは日本だ、グルタミン酸ソーダが、食の旨味成分であることを100年前に発見したのは日本人だよ。しかもそれを製造した。アジアから生まれた優れた発明だ。君はそういうものを使うのを好まないかもしれないが、どうだろう?」
玲蓮がリストを覗くと、数々の市販のアミノ酸などの成分が並んでいた。
次回更新は6月27日(金)、22時の予定です。
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