はじめに

私は、あと2年で後期高齢者になる今年73歳になった終活を実践中の高齢者です。大学を卒業してから一般企業に勤めるつもりでしたが、父親から戻ってこいと誘われ、長男の責任と観念して、地元に戻ってきて父の税理士事務所で働き始めました。

そして今から43 年前の30歳の時に、父親が木造の家を建て直すと言うので、それをやめさせて3階建ての小さなビルを父親と共同で建てることにし、1階は事務所、2階は両親の住居、3階は私の家族が住むことにして、両親と上下の階で暮らすことにしました。

当時はそれくらいの味噌汁のさめない距離で親と暮らすのが、将来親に何かあった時にもすぐに対応できて一番よいといわれていたからです。

しかし、実際に両親とビルの上下に住んでみると、予想外のことばかりが起こります。

まず、親から何も要望されていないのに私が中に入り、ビルを一緒に建てたことは、子供である私がこうすれば親も喜ぶだろうし、親のためになるだろうと思って勝手にしただけだとわかりました。

親は子供が親のためにやろうとすることを直接否定しませんが、こちらが思うようには考えてくれないと初めて気づいたのです。

毎日一緒に食べようと思っていた食事は、高齢の親と食べるものも食べる時間も違って いました。親は毎日決まった時間に好きなものを食べます。