【前回の記事を読む】見慣れぬ部屋。ドアを叩く音で目を覚ました。 「秋山良です。朝早くに突然すみません!」――浩はチェーンを外し彼を招き入れた

第一章 浩、狙われる!

良は、大体今迄の流れは分かったが、

「どうして撃たれたんですか?」と聞いた。

浩は、「全く分かりません! 多分自分のマンションとホテル新橋東京へ顔を出したあの男だと思います!」と返事をした。

そして、「グリーングラスホテルへ着いて部屋に入り、リュックを見て初めて撃たれたことに気が付きました、今迄撃たれたことなんか無いので本当に怖くて此れから一体どうしよう!と思っていたところです」と話した。

良は、ピストルで撃つということは単なる脅しではないな! 此れが本当に当たり所が悪く、死んでたら大変な事件に成っている。

バッグの中のチェーンで止まったからいいものの……そんな事を気にも掛けない輩とは危険な相手だ!と思った。

そこまでする理由が良の経験でも全く読めなかった! 余程ブリーフケースを手に入れたかったのだ……。

「ブリーフケースを見せていただけませんか?」と良が言うと、浩は直ぐに脇に置いてあったブリーフケースを手に取って渡した。受け取った良は上蓋を開けて中の書類を取り出した。

英語の書類と写真の入った穴あきクリアファイル、それにエアチケット、ブリーフケースの横にはドル紙幣が見える封筒が二つ置いてあった。

良は、英語の書類を素早く読むと丸田が今進めている幾つかのプロジェクトの動きがポイントだけ書いてあり、殆ど既に丸田から良が聞いている内容で、写真を見ても知らない人間が写っているだけだった。