ドル紙幣とチケットはニューヨークへ行く為の準備だろうと想像した。
人を殺してまで奪い取る物は何か? 良には益々分からなくなった。
良が、「気が付いた事が何か有りますか?」と問いかけると浩は、
「全く分からないです!」と答えた。
そして、「昨日撃たれたことが分かった時、何れ又狙われると思うといつ狙われるか分からない不安ばかりで恐ろしくビクビクしていました。
このままではどうしようもないと思い、いっそ警察へ届けるか、コインロッカーに入れるか? どちらかに!と思っていました。虫が良すぎるとは思いますが、何とか助けていただけませんか!」と良へ懇願する表情で必死になって訴えた。
良は、突然の提案を聞いて吃驚したが、言う事も尤もだ!と理解し、
「分かりました! 丸田のバッグが戻ってきましたし、何故其処までするのかが、私も気になるので一緒に対処しましょう」と応じた。
浩は、ぱあっ!と明るい顔になって、
「本当ですか?」と聞いたので良は大きく頷いた。
「有難うございます、此れまで自分一人悩んでいたので、一緒に闘って頂ける方が居ると思うと本当に自分の気持ちが変わった気がします。私が不味い事をしたにもかかわらず、本当に感謝します。すみません! 有難うございます」と頭を下げた。
良はそれを聞いてにっこりし、
「そういえばお名前を伺っていませんでした、教えて頂けますか?」と聞くと直ぐ、
「田賀浩です」と答えが返ってきた。