【前回の記事を読む】集中治療室に移った男は、未だ予断を許さない状態だった。心臓の動きを強くする薬に加え、点滴で栄養剤が身体に送り込まれている。
第一章 浩、狙われる!
暫くした後、掛かっているバスガウンを着て目覚ましを六時半に合わせ、直ぐそのままベッドの中へもぐり込んで寝入った。
目覚まし音で目覚めた良は、バスガウンを脱ぎシャワー室へ入った。
いつものルーティン、熱いシャワーを浴び、頭から身体まで泡だらけにして洗い、再び熱いシャワーで石鹸を流す、をして暫くじっとしていた。
そして横の洗面台に移ると髭を綺麗に剃りながら此れからの手順を思い浮かべ、身支度を終えた。
椅子に座ってスマホを取り出し、スターファイブCoのアプリを起動させ、幾つかのシステムソフトからこのホテルのエレベーターシステムに同期すると四十三階で停止するようにセットした。
併せてホテルキーの同期も一応セットしたが、先ず使わなくて済むように対応していこう! と心に決めた。
時間を見ると丁度七時過ぎだった。
「よし!」と言って、直ぐ部屋を出てエレベーターホールに向かい、ボタンを押すと直ぐドアが開いた。
良はスマホを翳して四十三階を押し階数表示を見ていた。エレベーターがゆっくりと下がって四十三階へ着きドアが開いた。
良はエレベーターを出て、歩きながらスマホが表示する丸田のブレスレットが有る部屋へゆっくりと歩いて4311号室の前で立ち止まった。
此処だ! 良は直ぐに迷わず部屋をノックした。